大判例

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東京高等裁判所 昭和31年(ネ)799号 判決

次に控訴人の表見代理の主張について判断するに、成立に争のない甲第七ないし第十号証、原審における証人酒井ことの証言(第一、二回)、被控訴人の供述(第一ないし第三回)、当審における被控訴本人の供述によれば、被控訴人は前記のとおり後藤酉蔵に月賦建築を依頼しその頃建築許可申請の手続を同人に委託したが、右委託の際被控訴人が後藤酉蔵に使用を許した認印は手続終了後直ちに返還を受け、実印及び登記済証を同人に預けたことはなく、また訴外片岡三郎及び福島利雄に対し本件貸借につき後藤酉蔵に代理権を授与した如き態度を示したことはないことが認められる。

しかして、建築許可申請の手続を委託することは、申請書類の作成並びに提出を委託するもので単なる事実行為の委託に過ぎず法律行為についての代理権を授与したものとは認められないから、後藤酉蔵に被控訴人を代理する何等かの基礎の権限があつたことは認められないのみならず、前記のとおり本件貸借については、控訴人が後藤酉蔵に代理権があると信ずべき正当の事由として認むべき事実も存在しなかつたから、右主張は理由がない。

(牛山 岡崎 渡辺一)

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